アンシンカブル 襲来

 ◇アンシンカブル 襲来(Den blomstertid nu kommer/The Unthinkable)

 

 しかし、この邦題(※安心かぶる?)だめでしょ。

 まあ、それはそれとして、いやほんと、親子はよく似てるって話だ。

 いじめられっこで、父親イェスパー・バルクセリウスとの関係がギクシャクしてる主人公クリストファー・ノルデンルートは、ギターが欲しい。しかしそんなもの買ってやれるかと怒鳴る父親に内緒で、母親は家計をやりくりしてギターをクリスマスのプレゼントに買ってやるんだが、高級なチェーンソーを母親に貰った父親もまた自分の使っていたギターを直して用意してた。

 で、母親に感謝する息子をまのあたりにしたとき、自分は直したギターを隠し、プレゼントのギターも取り上げ、怒鳴り散らし、納屋に籠もってギターをふたつとも破壊する。

 ま、これはわかるし、演出もいい。

 息子は母親が出ていった翌朝、憧れてた女友達のために書いた楽譜を渡そうとするがそれができず、どうしたの?と訊かれ、なんでもない!と怒鳴り、楽譜は握り潰す。不器用な親子だ。

 この親子のいびつな関係をひきずったまま、異星人の襲来が生起し、ひとりで洞窟の中の変電所を守り続ける意固地な父親イェスパー・バルクセリウスと作曲者になったクリストファー・ノルデンルートが再会して、かつてうまくいかなかった恋人リサ・ヘンニとめぐりあうものの、彼を待てずに結婚しちゃってるとかいう、じつに定番な物語で、いやまあ、宇宙戦争の恋愛版みたいな映画だったわ。